産声

たまにふと、誰かに伝えたいのか、

別に誰かに伝えたいわけでもなく

ただぽつりぽつり呟いてみたくなるだけ、

たったそれだけなのか、

自分でもよくは分からないが、

胸中の言霊たちを

外に放ってみたくなることが、

私にはどうやらあるようで。

 

何故だか最近、私の中で

そんな時期が訪れているらしく、

意味もなく、目的もなく、

たまにフリック交えながら、

あてもなく記している。

別に意味なんて、理由なんて、

必要だの不必要だの関係ないのかな。いっか。

 

そんな私は何者なのか、表向きで綴るなら

当時憧れだった業界で、しかも、

希望通り表舞台ではなく、縁の下の力持ち的な

職種で、素敵な同期と出会い、

社会人として世に出て早3か月なのか、

まだ3か月なのか。そんなところである。

 

大変だとは世間的にも

認知されている業界ではあるが、

当時就活生だった私は全く知る由もなかった。

こんなにも大変だなんて。

 

勿論、他の仕事を楽だの、

多忙極まりないだの、私の勝手な尺度で

測るべき話ではない。人それぞれ

思うことがあるのも分かっている。

そんなつもりではあるが。

こんなにも華があると

世に認知されているのとは対局をいくほど、

地道で、果てしなく、答えのない仕事だとは、

正直思いもしなかった。

ゴールがない仕事である。

 

人間は兎角、終着点を求め、

そこに向かって歩みを進めていきたくなる、

そんな生物である気がするが、

そのような考え方を持つ者にとっては、

きっと迷宮の中を彷徨う感覚に陥らせる、

そんな仕事なのではないだろうか。

 

そして学生バイト時代とは異質の、

人間関係や上下関係を徐々に目の当たりに

するようになるにつれ、

一層顔色を伺わなければならないことへの

知らぬ間のストレスが、精神的に、身体的に、

影響を及ぼしているようにも思える。

 

そもそも、ストレス耐性にはそれなりに

自負していた私にも関わらず、

いざ身を投じてみると、こんなにも私は

繊細さを持ち合わせていたなんてと。

まだまだ自分の中に未知なる自分が

息を潜めていたなんてと。

 

人間は面白い。

人間は、幾つになっても

新たな発見がある生物なのかもしれない。

 

そんなことを記しながら

久々に食べるドーナッツの甘みと、

少し感じる油っぽさとで、

少し覇気を失いかけている私のことを、

どうか来たる明日のために

コーティングしてくれないだろうか。